【2024年最新】東京23区の民泊新法上乗せ条例まとめ!開業しやすい区はどこ?
民泊新法(住宅宿泊事業法)とは、2018年に施行された「民泊」という営業形態の宿泊提供に関する法律「住宅宿泊事業」に関して規定する法律です。
民泊を始める際はこの民泊新法に沿って届出を行ったり許可を得る必要がありますが、法律だけでなく各自治体による条例、いわゆる「上乗せ条例」があります。
自治体の条例によって開業の難易度も異なるため、必ず確認を行いましょう。
今回は東京都23区の上乗せ条例について詳しく解説していきます。
法令と条例の違い
法令とは
法令とは法律や政令、省令を総称した言葉です。
法令の中でも代表的なものが法律ですが、法律は国会で定められた法のことであり、全国で適用されます。
条例とは
一方で条例は地方自治体が定めた法令のことを指します。
その区域内で有効となるため、地域による特徴や文化を取り入れることができます。
法律の範囲内で制定しきれない、各区の事情を考慮した条件が上乗せされて規制されるため、より厳しくなります。
東京23区の上乗せ条例一覧
区 | 上乗せ条例 |
---|---|
千代田区 | 学校周辺と文教地区は金土のみ |
中央区 | 土日のみ稼働可能 |
港区 | 家主居住型の場合は制限なし 居住専用地域と文教地区で家主不在型は制限期間あり |
新宿区 | 住宅専用地域は金〜日曜日のみ営業可能 それ以外の地域は制限なし |
文京区 | 制限区域では金〜日曜日のみ営業可能 |
台東区 | 家主居住型もしくは管理者が常駐している場合は制限なし |
墨田区 | 上乗せ条例なし |
江東区 | 土曜日と日曜日のみ稼働可能 |
品川区 | 商業地域と近隣商業地域は制限なし その他の地域は週末のみ営業可能 |
目黒区 | 全ての区域で金曜日と土曜日のみ稼働可能 |
大田区 | 制限区域内では営業不可 |
世田谷区 | 住宅専用地域では土日と祝日のみ営業可能 それ以外の地域は制限なし |
渋谷区 | 文教地区と住宅専用地域では営業可能な期間に制限あり |
中野区 | 住居専用地域では金〜日曜日と祝日に営業可能 |
杉並区 | 住宅専用地域で家主不在型の場合 金〜日曜日と祝日、祝日の前日が営業可能 |
豊島区 | 上乗せ条例なし |
北区 | 上乗せ条例なし |
荒川区 | 曜日と日曜日のみ営業可能 |
板橋区 | 住居専用地域では金〜日曜日と祝日、祝日の前日から稼働可能 |
練馬区 | 住居専用地域では金〜日曜日と祝日、祝日の前日から営業可能 |
足立区 | 住宅専用地域は金〜日曜日と祝日は営業可能。 ただし年末年始は営業不可。 |
葛飾区 | 上乗せ条例なし |
江戸川区 | 上乗せ条例なし |
上乗せ条例の詳細
各区の上乗せ条例について解説します。
※2024年5月17日時点の情報です。
※詳細につきましては各自治体ホームページにてご確認ください。
1.千代田区
参考:千代田区ホームページ
千代田区は、以下条件によって、民泊運営が可能な期間が異なります。
条件によってはそもそも住宅宿泊事業の運営が不可能となる場合もあります。
- 物件に家主が居住しているかどうか
- 物件に家主がいない場合でも、管理者が常駐しているかどうか
- 文教地区等の用途地域
2.中央区
参考:中央区ホームページ
中央区では平日の住宅宿泊事業の実施が制限されています。
マンションが多い地域であり、平日は留守にしている区民も多いことから、区民の生活環境を守るべく期間を制限しているとのことです。
- 営業可能日・・・土曜日、日曜日のみ
3.港区
参考:港区ホームページ
港区は特定の地域で期間の制限があります。
- 家主居住型の施設・・・上乗せ条例はありません。
- 家主不在型の施設・・・文教地区と住居専用地域では以下の期間の営業が出来ません。
①1月11日正午から3月20日正午
②4月11日正午から7月10日正午
③9月1日正午から12月20日正午
制限のある区域では、いわゆる春休み、夏休み、冬休みの期間のみ営業が可能です。
4.新宿区
参考:新宿区ホームページ
新宿区は特定の地域で営業日の制限があります。
- 住居専用地域・・・金曜日、土曜日、日曜日のみ営業が可能
- 住居専用地域以外・・・上乗せ条例なし
5.文京区
参考:文京区ホームページ
文京区は特定の地域で営業日の制限があります。
- 文教地区、住居専用地域、住宅地域、準工業地域・・・金曜日、土曜日、日曜日のみ営業が可能
- 上記以外・・・上乗せ条例なし
6.台東区
参考:台東区ホームページ
台東区は家主の居住もしくは管理者の常駐の有無によって制限が変わります。
- 家主が居住もしくは管理者が常駐している場合・・・上乗せ条例なし
- 管理者が常駐していない物件・・・土曜日、日曜日、祝日、年末年始(12/30~1/3)のみ営業可能
また、管理者が常駐する場所について以下のように定義されています。
- 届出住宅内
- 届出住宅と同一の建築物内
- 届出住宅と同一の敷地内に存する建築物内
- 届出住宅に隣接している建築物内
7.墨田区
参考:墨田区ホームページ
墨田区は上乗せ条例がありません。
8.江東区
参考:江東区ホームページ
江東区は区内全域を住宅宿泊事業の実施を制限する区域(制限区域)としており、
区内のどこであっても土曜日、日曜日、祝日のみ営業が可能です。
9.品川区
参考:品川区ホームページ
品川区は特定の地域で営業日の制限があります。
- 商業地域、近隣商業地域(文教地区を除く)・・・上乗せ条例なし
- 上記以外の区域・・・土曜日、日曜日のみ営業可能
10.目黒区
参考:目黒区ホームページ
目黒区では区内全域において、金曜日、土曜日のみ営業が可能です。
少々厳しい条件ですが、桜の季節に圧倒的な人気を誇るエリアでもあるため、旅館業法での運営を考えてみるのも良いかもしれません。
11.大田区
参考:大田区ホームページ
大田区は特定の地域で営業の制限があります。
- 家主居住型の施設・・・上乗せ条例はありません。
- 家主不在型の施設・・・住居専用地域、工業地域、工業専用地域、文教地区、特別業務地区、流通業務地区等では営業が出来ません。
また、小学校や中学校の敷地周囲100メートル以内の物件では金曜日、土曜日、日曜日のみ営業が可能です。
大田区は国家戦略特別区域のため、特区民泊での運営が可能な地域もあります。
12.世田谷区
参考:世田谷区ホームページ
世田谷区は特定の地域で営業日の制限があります。
- 住居専用地域・・・土曜日、日曜日、祝日のみ営業が可能
- その他の地域・・・上乗せ条例なし
13.渋谷区
参考:渋谷区ホームページ
渋谷区は特定の地域で営業日の制限があります。
- 文教地区、住居専用地域・・・以下の期間、営業が不可能です。
①4月5日から7月20日まで
②8月29日から10月の第2月曜日の前の週の水曜日まで
③10月の第2月曜日の前の週の土曜日から12月25日まで
④1月7日から3月25日まで
ただし、近隣住民や町会からの苦情等に迅速に対応出来ると認められ、定められた要件を満たしている場合、年間180日の運営が可能になるケースもあります。
14.中野区
参考:中野区ホームページ
中野区は特定の地域で営業日の制限があります。
- 住居専用地域・・・金曜日、土曜日、日曜日、祝日のみ営業が可能です。
- それ以外・・・上乗せ条例なし
ただし、住居専用地域でも家主同居型かつ必要な要件を満たしている場合、一定の条件を付した上で平日に実施することが認められるケースもございます。
15.杉並区
参考:杉並区ホームページ
杉並区は特定の地域で営業日の制限があります。
- 家主居住型の施設・・・上乗せ条例はありません。
- 家主不在型の施設・・・住居専用地域は金曜日、土曜日、日曜日、祝日、祝前日のみ営業可能です。
杉並区の住居専用地域は区内の約8割に上ります。
16.豊島区
参考:豊島区ホームページ
豊島区は上乗せ条例がありません。
しかし、家主不在型の施設の場合は対面による本人確認と鍵の手渡しが必要です。
17.北区
参考:北区ホームページ
北区は上乗せ条例がありません。
18.荒川区
参考:荒川区ホームページ
荒川区は区内全域で土曜日、日曜日のみ住宅宿泊事業の運営が可能です。
また、住宅宿泊管理業者に管理を委託する場合、物件からの距離がおおむね1km以内の営業所等への常駐が必要になります。
19.板橋区
参考:板橋区ホームページ
板橋区は特定の地域で営業日の制限があります。
- 住居専用地域・・・金曜日、土曜日、日曜日、祝日、祝前日のみ営業が可能です。
- 上記以外の区域・・・上乗せ条例なし
ただし制限区域にあっても、家主居住型等、苦情やトラブルが発生した場合にすぐに対応が出来るものは、規制の対象外となる場合がございます。
20.練馬区
参考:練馬区ホームページ
練馬区は特定の地域で営業日の制限があります。
- 住居専用地域・・・金曜日、土曜日、日曜日、祝日、祝前日のみ営業が可能です。
- 上記以外の区域・・・上乗せ条例なし
また、住宅宿泊事業の届出を行う15日前までに近隣住民への説明が必要になります。
宿泊施設を運営するうえで、地域との良好な関係は必須と言えるでしょう。
21.足立区
参考:足立区ホームページ
足立区は特定の地域で営業日の制限があります。
- 住居専用地域・・・金曜日、土曜日、日曜日、祝日のみ営業が可能です。(12/31~1/3を除く)
- 上記以外の区域・・・上乗せ条例なし
22.葛飾区
参考:葛飾区ホームページ
葛飾区は上乗せ条例がありません。
23.江戸川区
参考:江戸川区ホームページ
江戸川区は上乗せ条例がありません。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
東京23区の中でも千代田区・中央区・目黒区のように厳しいところもあれば、墨田区・北区・葛飾区のように上乗せ条例がない区もあります。
中でも墨田区はスカイツリーなどの観光名所がありながら上乗せ条例がないため、狙い目といえるでしょう。
物件を購入してから「条件が厳しくて思うようにいかない」ということがないよう、事前に希望のエリアの条例を詳しく調査しましょう。
また自治体の条例は頻繁に改正されるため、定期的にチェックしましょう。