民泊に必要な消防設備は?設置基準や申請方法について解説
民泊を始める際は、物件に応じて適切な消防設備を設置する必要がありますが、実際にどのような設備をどのような方法で用意すれば良いか分からない方は多いのではないでしょうか。
本記事は民泊に必要な消防設備や消防署への申請方法について解説します。
消防法令上の分類
消防法令では、建物の利用方法ごとにいくつかの分類に分けられており、それにより設置すべき消防設備などが定められています。
民泊の場合は消防法令上、「防火対象物」というものに指定されています。
防火対象物は火災予防のための法令で規制対象となる建築物のことで、民泊もその1つです。
また、防火対象物のなかには特に規制の厳しい特定防火対象物と呼ばれる建物も存在します。
民泊は以下3種類の分類のうちのいずれかに分類されることが多く、建物の規模や利用方法などの条件により所轄の消防署が決定します。
- 戸建や共同住宅を民泊として使用する場合(5項「イ:旅館、ホテル、宿泊所等」)
- 共同住宅の一部を民泊として使用する場合(16項「イ:複合用途防火対象物のうち、その一部が特定防火対象物の用途に供されているもの」)
- 共同住宅と判断された場合(16項「ロ:イ以外の複合用途防火対象物」)
民泊に必要な消防設備
消防法令で定められている防火対象物の分類のなかで、民泊や共同住宅と判断された場合は以下の設備が必要となります。
- 自動火災報知設備
- 誘導灯
- スプリンクラー消火設備
- 消火器
①自動火災報知設備
自動火災報知設備はほとんどの物件で必須となりますが、窓があり地下のない2階までの比較的小さな規模の建物の場合は、通常の自動火災報知設備ではなく、特定小規模用自動火災報知設備の使用が認められる場合があります。
小さめの面積の目安は延べ面積が300㎡未満程度です。
②誘導灯
誘導灯は、非常口付近に設置する避難口誘導灯と非常口の方向を示すために通路に設置する通路誘導灯の2種類があります。
大きさによりA級(40cm角)、B級(20cm角)、C級(10cm角)と分かれています。
施設により、設置する誘導灯の大きさや場所が細かく決められていますので、どこに何個必要なのか確認するようにしましょう。
③スプリンクラー消火設備
スプリンクラー消火設備は、火災発生時、自動で水や消火剤を散布する設備のことです。
設備の規模によっては必要になることがあります。
スプリンクラー設備の設置は大規模な工事となることが多いため費用は100万円〜と高額です。
自治体で行なっている補助金制度の対象や範囲についても確認しておきましょう。
④消火器
薬品や水、ガスなどを手動で散布することにより消火するものです。
民泊の場合、面積が小さい施設は設置の義務はありませんが、小規模な火災の場合すぐに対処できるというメリットがあります。
価格も安価なものが多くありますので、設置義務はなくても1本は設置しておくことをお勧めいたします。
誘導灯設置の免除要件
小規模な民泊の場合、誘導灯の設置が免除される場合があります。
以下、免除要件について解説します。
①戸建ての場合
1 次の全ての要件に適合し、避難階が1階の場合
(1)以下のいずれかに該当すること。
ア.各居室から直接外部に容易に避難できること。
イ.各居室から廊下に出れば、簡明な経路により容易に避難口へ到達できること。
(2)建物の外に避難した者が、当該建物の開口部から3m以内の部分を通らずに安全な場所へ避難できること。
(3)利用者に対して避難口等の案内を行うことや、見やすい位置に避難経路図を掲示すること等により、容易に避難口の位置を理解できる措置を講じること。
2 次の全ての要件に適合し、避難階が2階以上の場合
(1)各居室から廊下に出れば、簡明な経路により容易 に階段へ到達できること。
(2)廊下等に非常用照明装置を設置すること又は常時 容易に使用できるように居室に携帯用照明器具を 設置すること等により、夜間の停電時等において も避難経路を視認できること。
(3)1の(3)の要件を満たしていること。
②共同住宅の場合
(1)民泊を行う住戸の床面積が100㎡以下。
(2)民泊を行う住戸内の廊下に非常用照明装置の設置又は各宿泊室に携帯用照明器具を設置。
(3)全ての宿泊室が以下のいずれかに該当すること。
ア.直接外部又は避難上有効なバルコニーに至ることができる。
イ.2以上の居室を経由せずに玄関に通じる廊下に至ることができ、かつ、一の居室を経由する場合でも経由する居室に非常用照明装置の設置又は宿泊室に携帯用照明器具を設置する。
消防設備を設置するまでの流れ
①消防法令における用途と必要な消防用設備を確認
まずは所轄の消防署へ必要な消防用設備を確認しましょう。
民泊の用途が一般住宅となる場合でも、宿泊室等に住宅用火災警報器(住警器)の設置が必要です。
②消防用設備の図面を作成
住宅宿泊事業届出書に添付する建物の平面図を用意し、消防用設備の設置場所などを記載します。
③事前相談
作成した図面を持って事前相談に行きましょう。
以下の内容を管轄消防署に確認しておくと手続きが円滑に進みます。
- 消防用設備の設置位置や
- 誘導灯の設置免除の可否
- 設置届の添付資料・提出部数
- 設置届の記載方法
- 現地検査の有無等
④消防用設備の設置
実際に特定小規模施設用自動火災報知設備や消火器などの消防用設備を設置しましょう。
⑤試験
設置した消防用設備の試験を行います。
消防庁HPの記載例を参考に試験を実施し、試験結果報告書を記載します。
⑥設置届を管轄消防署に提出
試験が終了したら消防庁HPの記載例を参考に設置届を作成し、消防署に提出しましょう。
まとめ
今回は民泊に必要な消防設備の設置基準や申請方法について解説しましたがいかがでしたでしょうか。
まずは消防法令上どの物件タイプに分類されるか確認を行い、適切な消防設備を設置しましょう。
免除要件や申請内容など専門知識も多いため、不安な方は代行会社へ依頼することをおすすめします。
株式会社PQDでも民泊運営代行を行っており、民宿・ホテル、規模を問わず様々な形態の物件に対応しています。
マーケティングデータの活用やハイセンスな家具や電化製品の採用によりお客様に心から満足いただける部屋作りを徹底しており、特に清掃スタッフは大手のホテルなどで経験を積んだスタッフを中心に構成し、こだわりを持って行っています。
最大の特徴は現場で起きる様々なイレギュラー事例に対して臨機応変に対応し、マニュアルにとらわれない顧客重視のサービスを行っている点です。
料金形態も内容に合わせて柔軟に対応していますので検討中の方は是非一度お問い合わせください。