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大阪で民泊を始めるなら特区民泊がおすすめ?!特区民泊の要件や旅館業法・民泊新法との違いを解説!

大阪は、東京に次ぐ大都会。

関西国際空港があることや多くの観光スポットがあることから日本人だけではなく多くの訪日外国人が訪れる都道府県です。

民泊には旅館業法に基づく「簡易宿所」、国家戦略特別区域法に基づく「特区民泊」、住宅宿泊事業法に基づく「民泊新法の民泊」の3種類ありますが、

そのうち「特区民泊」は可能エリアが限定されており、大阪府や大阪市は認められている数少ない地域のうちの一つです。

今回はなぜ特区民泊がおすすめなのか、特区民泊の規定や旅館業法や民泊新法との違いを解説します。

特区民泊とは

特区民泊は大阪府や大阪市、東京都大田区などの一定地域で実施されている制度で、正式な名称は「国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業」といいます。

以前は宿泊期間が1ヶ月未満の場合は旅館業法が適用され、旅館業法に基づく許可申請や様々な義務が求められていましたが、特区民泊の認定を受けることで、この旅館業法の適用が除外されて観光やビジネスの宿泊ニーズに対応した新たな宿泊施設を提供することが可能になりました。

2016年に全国で初めて東京都大田区がこの制度の取組みを開始しました。

特区民泊が可能な地域 ※令和6年7月現在

  • 東京都大田区
  • 千葉県千葉市
  • 新潟県新潟市
  • 大阪府
  • 大阪市
  • 八尾市
  • 寝屋川市
  • 北九州市

出典:内閣府|国家戦略特区

国家戦略特区に指定されている地域であっても、全ての特区で民泊条例を制定できるわけではなく、民泊条例が制定できる国家戦略特区であっても、全てが民泊条例を制定しているわけではありません。

各自治体の条例等の状況については「民泊制度ポータルサイト(各自治体の窓口案内)」で確認できます。

宿泊施設の利用対象者

正式名称をみると、外国人しか宿泊出来ないという印象を持たれる方も多いと思いますが、実際は日本人でも宿泊が可能です。

国家戦略特別区域法第13条は、外国人旅客の滞在に適した「施設」を一定期間以上使用させる事業と規定しており、事業で用いる「施設」が外国人旅客の滞在に適したものであることを求めているものの、施設の「利用者」については何ら規定を設けておりません。

特区民泊の施設は「外国人旅客の滞在に適した施設」であって、それを利用する人は外国人でも日本人でも構わないということになります。

【内閣府のホームページより】

本特例の対象施設は、制度上、日本人でも外国人でも利用できるものですが、最近、対象施設の利用者が外国人に制限されているかのような誤解が広がっており、制度の正確な理解の確保と本制度の円滑な活用促進に支障が生じることとならないか懸念しております。

国家戦略特別区域法第13条は、外国人旅客の滞在に適した「施設」を一定期間以上使用させる事業と規定しており、事業で用いる「施設」が外国人旅客の滞在に適したものであることを求めているものの、施設の「利用者」については何ら規定を設けておりません。

出典:内閣府|国家戦略特区

大阪市の特区民泊の要件 ※令和6年7月現在

大阪市の特区民泊の要件について解説します。

改正の可能性がありますので必ずホームページも合わせてご確認ください。

■大阪市ホームページ

民泊を始めようと考えられている事業者さまへ

大阪市国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業(特区)について

大阪市の実施可能区域

大阪市の特区民泊が可能な地域は、原則として、建築基準法第48条で「ホテル・旅館の建築が可能な用途地域」と規定されている地域です。

出典:大阪市健康局|国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業に関するガイドライン

賃貸物件で民泊を始める場合の注意点

賃貸物件で民泊を始める方は「賃貸借契約書」と「マンション管理規約」の2点に注意が必要です。

①賃貸借契約書

  • 「民泊可能」と記載されている場合

賃貸借契約書に「民泊可能」と記載されている場合、申請時に賃貸借契約書の写しを提出するだけで問題ありません。

  • 「民泊可能」とも「民泊不可」とも記載が無い場合

賃貸借契約書に「民泊可能」とも「民泊不可」とも記載が無い場合は、賃貸借契約書に加えて、所有者(貸主)が民泊の使用を許可する旨を明記した「使用承諾書」が必要になります。

  • 「民泊不可」と記載されている場合

民泊施設として認定されません。

②マンション管理規約

  • 「民泊可能」とも「民泊不可」とも記載が無い場合

マンション管理規約には、通常「専ら住宅として使用」という文言が書かれています。

旅館業法の簡易宿所の許可では、この文言をどのように解釈するかで議論がありました。

大阪市の特区民泊では、この表現は可能とも不可とも記載されていないとみなしているため、「専ら住宅として使用」と規約に書かれている場合、管理組合から民泊としての使用承諾書をもらえれば、特区民泊の認定申請は可能となります。

  • 使用承諾書がもらえない場合や管理規約に「民泊不可」と明記されている場合

民泊の営業は出来ません。

居室の構造設備

特区民泊の居室の構造設備に関しては、国家戦略特別区域法施行令で以下のように規定されています。

  • 一居室の床面積は、二十五平方メートル以上であること。
  • 出入口及び窓は、鍵をかけることができるものであること。
  • 出入口及び窓を除き、居室と他の居室、廊下等との境は、壁造りであること。
  • 適当な換気、採光、照明、防湿、排水、暖房及び冷房の設備を有すること。
  • 台所、浴室、便所及び洗面設備を有すること。
  • 寝具、テーブル、椅子、収納家具、調理のために必要な器具又は設備及び清掃のために必要な器具を有すること。

さらに大阪市では以下のような規定が追加されています。

  • 台所及び洗面設備は別に設け、水道水その他飲用に適する水を供給することができる流水設備を設けること
  • 調理器具は、電子レンジ、コンロなど加温できるものであること
  • 清掃器具として、掃除機、雑巾、ごみ箱を有していること

要件の一つに「一部屋の床面積が25㎡以上」がありますが、ベランダは含まないため注意しましょう。

建築基準法に基づく検査済証について

建築基準法では完成検査を行い、建築物及びその敷地が建築基準関係規定に適合していることを認めたときは、検査済証の交付が義務付けられています(建築基準法第7条5項)。

 大阪府の場合、当該物件が建築基準法に基づく検査を受けていることを確認できることが望ましいとして、申請書の添付資料として、検査済証の写しの提出をするように要請されますが、検査済証がなくても申請は可能です。

大阪市の場合、検査済証の提出は不要です。

滞在者名簿の作成

以下内容を記載した在者名簿を作成する必要があります。

  • 滞在期間
  • 氏名
  • 住所
  • 職業
  • 国籍
  • 旅券番号

近隣住民への説明

トラブル防止のため、特区民泊の認定を申請する際は事前に近隣住民への説明をする必要があります。

■近隣の範囲

要綱第5条1号

  • 次の(ア)又は(イ)に掲げる建物(施設の存する建物の外壁から水平距離で 20 メートルを超える場合を除く。)に存する全世帯
  • (ア) 施設の存する敷地の境界線に接する敷地に存する建物
  • (イ) 施設の敷地の境界線から道路、公園等の敷地を挟んで隣接し、敷地境界線までの水平距離が 10 メートル以下である建物

■説明方法

  • 説明会又は戸別訪問

以前は対面での説明が必須でしたが、現在は対面できなかった場合書面をポスティングすることで、別途戸別訪問は不要とされています。

■説明内容

  • 特定認定を受けようとする者の氏名(法人にあっては、その名称及び代表者の氏名)
  • 施設の名称及び所在地
  • 事業の概要
  • 苦情等の窓口の責任者の所在地、氏名及び連絡先
  • 廃棄物の処理方法
  • 火災等の緊急事態が生じた場合の対応方法

消防設備の基準

特区民泊における消防設備の基準は、自治体ごとのルールによって異なるため、必ず管轄の消防署に確認しましょう。

大阪市では、旅館・ホテルと同じ消防基準が求められます。

以下は特区民泊の消防基準についての一例です。

消防設備説明
自動火災報知設備設置必須。煙感知器を含む。
消化器延べ面積が150㎡(地階・無窓階・3階以上は50㎡)以上の建物に必要
屋内消火栓設備事業用建物を民泊として運営する際に要確認
スプリンクラー設備11階建て以上の高層建物で要求される
漏電火災報知器古い戸建てや長屋での民泊において要求されることがある
誘導灯戸建てや共同住宅で必須または新式への交換が必須。地階・無窓階。11階以上
連結送水管7階建て以上の集合住宅で、メンテナンスの状況によって要求されることがある
防火管理者建物全体の収容人数が30人以上なら必要(マンション・アパートの集合住宅や複合物件など)

外国人観光客への情報共有

特区民泊では、外国人観光客に対するサービスが特に重視されており、多言語に対応できるスタッフの配置や、ガイドブックなどの資料を多言語で用意することが推奨されています。

滞在中の楽しみ方を案内するだけでなく、緊急時やトラブルが発生した際の言語の壁を減らすためです。

旅館業法や民泊新法との違い

以下の表は特区民泊と、旅館業や住宅宿泊事業との違いを比較したものです。

旅館業法民泊新法特区民泊
許認可等許可届出認定
営業日数の制限なし年間180日以内2泊3日以上(年間の営業日数の制限なし)
客室面積原則33㎡ 以上(宿泊者の数を 10 人未満とする場合は、3.3㎡×人数でも可3.3㎡×人数原則25㎡以上
近隣住民への説明会不要必要必要
管理委託の必要性なし規定あり(居室6以上か家主不在型の場合)規定なし
消防設備の基準必要必要(家主がいる場合は緩和措置あり)必要
外国人観光客への情報共有あればなお良しあればなお良し必要
住専地域での営業不可可能(条例により制限されている場合あり)可能(認定を行う自治体ごとに、制限している場合あり)

特区民泊には営業日数の最低宿泊数が2泊3日以上と定められており、1泊のみの宿泊は不可となってますが、住宅宿泊事業のように年間の営業日数の上限がなく年間を通じてフルに稼働できます。

また、地域の条例によって異なりますが、旅館業では営業できない住居専用地域での運営も可能となっています。

特区民泊の実績

以下の表は令和6年5月末の時点で特区民泊が可能な地域での営業実績です。

出典:内閣府|国家戦略特区

特区民泊の認定を受けてる宿泊事業ですが、上記の表を見て分かるように大阪市に集中しています。

特区民泊は、営業日数の制限がないため、稼働率が高まることで、安定した収入源を確保しやすくなります。

また、旅館業では営業できない住居専用地域での運営も可能なため、特区民泊が許可されている大阪市では人気の業態です。

デメリットを上げるとすると、近隣説明が必要なことや、最低宿泊日数が2泊3日以上の制限があることでしょう。

大阪市では特区民泊がおすすめ!

ここまで特区民泊の要件と、旅館業法・民泊新法との違いについて解説してきました。

特区民泊をおすすめする1番の理由は営業日数の制限がないことですが、他にも民泊がうまくいかなかった時にアパート等の一般住宅に転用しやすいというメリットや旅館業法よりも許可がというメリットがあります。

ただ、新たに建築から行う場合は旅館業法の簡易宿所にしたほうが一番登録できる宿泊サイト数が多いというメリットもあります。

既にあるアパートや戸建てを民泊として運用するのか、新たに建築するのかによっても最適な業態は変わってくるため、慎重に検討しましょう。

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